飯豊連峰 門内小屋管理人見習い日記 U

平成18815日〜817

7月28日〜31日の1回目の管理人(補員)に引き続き、815日〜17日まで2回目の補員として門内岳避難小屋の管理人として駐在した。

お盆休み中なので人出もあり混雑するかな?などと思いながら準備をした。また、821日までが管理人の常駐期間なので、そろそろ食料計画の最終的な帳尻+余裕を見ながら主食を中心に荷揚げ品を相談して私の前に入ったLTKと私で分けて持上った。15日がLTKとの交代の日なので朝、早立ちして涼しいうちにある程度高度を稼ごうと考えていた。

GPSLOG 清水の位置 17日6時天気図 17日12時天気図
17日7時衛星写真 17日12時衛星写真 滝見場から石転ビ 滝見場から石転ビ
滝見場の少し上にて 夕日の北股 日本海に浮かぶ粟島 夕日が佐渡に落ちる
ネベテツ君何を想う? 粕川理事長とご友人 OIIさん 石井さん到着

815日(火)
00:15 起床
01:40 自宅発
03:10 天狗平着(420
03:30 天狗平発
04:00 まだ暗い。思ったより暑い。(620
04:30 食事 GPS電池交換、手間取る。ヘッデン不要(780
05:00 東の尾根から日の出
05:19 湯沢峰(1,020)暑い。
05:54 滝見場着(1,145)食事、門内小屋と交信。06:03滝見場発
06:40 五郎清水(1,370)給水、食事。風ナシ太陽光暑い。07:00五郎清水発
07:25 三本樺(1,540)デポザックあり。無線連絡。07:40三本樺発。
07:57 梶川峰着(1,700)食事08:05梶川峰発
08:45 扇の地紙(1,889)梶川峰上部には探していた花無し。
09:07 門内小屋着(1,865

日付が変わったばかりの深夜0時を少し廻った頃、起床した。簡単な食事を摂りインターネットで天気図等を確認して140分頃自宅を出る。星空がきれいだ。コンビニで行動食を購入して天狗平へ向かう。天狗平着03:10満天の星である。準備をしていても虻もまだ寝ているのか襲ってこない。

03:30天狗平を発つ。真っ暗な急登をヘッデンの明かりを頼りに登る。時折視界が開けるところにくると星が奇麗だ。少し西からは月の明かりが印象的だ。まだ、夜明け前だというのに、既に汗が吹き出る。楢ノ木曲がりあたりで何かが藪に逃げ込みカサカサ音がする。蛇か何かだろう。

04:00を過ぎると1分毎に東の空の様子が変わっていく。0430780m付近で腹が空いたので握り飯を食べる。GPSを確認するとバッテリーの残量がない。充電したと思い込んでいたのだが、混交してしまったようだ。交換電池を入れたスタッフバックがザックの底で手間取る。そんなことをしている内に明るくなりヘッデンが不要になる。

05:00東の尾根から朝日が顔を出す。既に顎から汗が滴り落ちてズボンに染みを作る。
05:19湯沢峰(1,020)暑い。握り飯を食べながら風の吹かないのを恨めしく思う。

05:54滝見場着(1,145)食事を採りながら交信時間を待つ。LTKと交信し私の現在位置を知らせ、概ねの到着時間を告げて自家用ビールを冷やして欲しい。と懇願するとLTKは快諾してくれた。これで心配はない。もう少し登ると大きなヒキガエルが登山道の真ん中に鎮座していてワシに気を付けんかい!という感じである。

06:40 五郎清水(1,370)に到着。既に500mlの水を消費。空の500mlのペットボトル1本と飲みながら上がってきた、500mlのペットボトル合わせて2本で1,000mlの水を汲む。冷たい水を飲むと又腹が減って食べかけの握り飯を食べる。風は無く後頭部から太陽光に照らされて暑い。

07:25三本樺(1,540)着。青いザックカバーを架けたザックがポツンと置いてある。13日の事もあり嫌な感じがしたので15分程待ってみた。0330に尾根に取り付いた私の前にザックがあるという事はどういう事なのだろう?待ってみたが持ち主は現れない。キジ打ちでもなさそうでありOTJへ一応無線連絡を取るが作業中の様で通じない。すると、新発田のJJφSYZさんが出てくれた。今朝、梅花皮小屋から出て今、ギルダ原を通過中。門内小屋で休憩し下山するとの事。SYZに三本樺にザックがデポしてある旨を話す。変な場所でのデポである。状況をSYZに話しOTJと繋がったら状況を伝える事にした。07:40三本樺発。

07:57梶川峰着(1,700)また、食事を採る。握り飯を食べていると猿が樹を揺すって私を驚かせる。非常に不愉快だ。頭にきたので彼奴等を驚かせた。ここから、扇の地紙までミヤマリンドウはよく見られるがイイデリンドウは見かけたことがない。注意深く探すがやはり見つからなかった。
08:45 扇の地紙(1,889)を過ぎると最早、冷たいビール以外思考が廻らず先を急ぐ。門内小屋直前に
SYZとスライド少しザックの件を打合せる。

09:07門内小屋着(1,865)先ずは、冷えたビールを一気に流し込む。着替えてもう1本。乾いたスポンジの様に吸い込む。汗も引き少し落ち着いてから引継ぎ事項を確認する。昼前にLTKがモツ炒めを作ってくれた。1200LTKは下山を開始する。OTJLTKはこれから下山するので梶川尾根を下りデポザックを確認すると話している。場所が妙なところだけに皆、気になるようだ。その後どうやら持ち主が現れたようで先ずは一安心。でも何で三本樺にデポだったのだろうか?

13時を少し過ぎた頃だろうか、下越山岳会の渡部君(通称ナベテツ君)がヒョッこり顔を出す。彼も汗びっしょりだ。今日は佐渡、粟島迄よく視界が利く。遠くは妙高(だと思う)まで見える。ナベテツ君が到着して間もなく、今井長一郎さんが頼母木小屋から道刈りの様子と門内の状態を観に来られた様だ。何でも昨夜は頼母木小屋で飲みすぎてコワイ(身体が辛い。の意)とこぼしていた。

その後、宿泊、小屋泊まりのお客様がポツポツ入ってくる。案外、バッチも売れる。OTJから十数人のお客様が梅花皮小屋からピストンで大日岳を目指して門内まで下山する予定のパーティーが14:30を過ぎても未だ戻って来ないとの事。門内までは時間的に厳しいかな?との事。予想通り夕方交信すると、15:30を過ぎて梅花皮に到着して疲労もあり今晩は梅花皮小屋泊まりとなる。と連絡がある。

本山方向を見ると滝雲が稜線を南東から北西に流れ下る。本山小屋のIWUに無線を入れるとやはり風が強い様だ。

夕方になり夕日が佐渡に落ちていく。新潟〜新発田、坂町、岩船、村上の夜景が綺麗だ。日本海には漁火が見え綺麗だ。ナベテツ君と酒を飲み外へ出て天空を望むと満天の星空だ。石室の上に寝転んで星空を眺めていると流れ星、人工衛星まで見えるし天の川も望める。

20:00の定時交信で明日、OIIさんが登って来るとの事。
20:30分就寝

816日(水)
04:30分起床。天気は今日も良いようだ。昨日同様、南東〜北西に滝雲が流れ風も強そうだ。530分を過ぎて西の空まで明るくなると、昨日同様、空はクリアであり米山、妙高まで見える。しかし、山形側は雲が多い。雲海がうねるようである。順次宿泊、テン泊の方々が出発する。目的地は、御西〜本山までの計画の方が多いようである。

06:00定時交信。下界は朝から非常に暑いと言っていた。ナベテツ君が0700頃の下山開始予定と伝える。ナベテツ君が食事をして下山準備をしている間に、私は冷却用の雪塊を取りに行く。先月末より随分下に下りている。雪渓も小さくなってきた。LTKより引継ぎの時、清水は随分水量が減ってきた。と言っていた。

07:00ナベツネ君下山を見送る。
0805山形県山岳協会の粕川さんが友人の方と珍客連れでおいでになる。昨日は、石転ビを登り、梅花皮小屋泊だったとの事。丸森尾根下山とのこと。昨晩は卵抜きのすき焼きだった。とのこと。重荷に耐えて食べるすき焼きは美味に違いない。

その後、昨夜、梅花皮小屋に泊まった豊栄山岳会の方々がおいでになり、昨日のデポザックの顛末をお聞きした。何事も無く良かった。ザックの持ち主も下山後関係機関に報告するとの事である。
さて、振り返ると私が無線で三本樺にデポしてあるザックの件を話したのがキッカケだったが、判断としては適当と思っている。事故かどうかは不明だが、通常デポするような場所ではない所にザックがデポされていれば情報として誰かに知らせておく事は悪いことではないと思う。

小屋、WCの清掃、バイオWCのオガ屑の乾燥等を行い10時過ぎ頃LTKを呼ぶと、OIIさんが無線にでてもうチョッとで扇の地紙とのこと。
1100OIIさんも汗ビッショリで到着。冷えたビール2本を飲み少しユックリして頂く。

午後になると暑さの為か早めに小屋泊まりを決め込む方が来られたり、と慌しかった。皆さん、明日の天気予報を気にしている。予報では明日から雨の予報であるが、南海上の台風の進路にも左右される。また、案外テント泊の方もいらっしゃる。飯豊の北側に始めて泊まるという方は、日本海が余りに近い事、佐渡が余りに大きい事に驚かれていた。特に関東方面の方は、日本海の夕日を堪能しておられた。

夜になり夜景、星空昨日同様に楽しむ。門内付近は眺望の良い所だと改めてそう思う。
20:00時の定時交信では下界では暑くて仕方ない。とこぼしている。新発田の夜景が綺麗ですよ。風が吹くと少し寒いなあ。と話すと下界では考えられないと言っていた。
OIIさんと少し話をして21時少し前に就寝した。

817日(木)
04:30分起床。早いもので、もう交代の朝である。外に出ると相変わらず南東の風が吹いて、滝雲が本山方向を包んでいる。朝の風景を楽しんで日の出を待つ。そういえば4時頃既に出た方もおられたようである。6時の定時交信でもVXTLTK共に暑いと朝6時からこぼしている。引継ぎに備え現金の確認を行った。

OIIさんが冷却用の氷化した雪塊を取りに行く。私は小屋とWCの状況を見に行く。今朝は、男性用WCが汚い。汚してしまった方が処理してくれればいいのだが・・・

朝食後、WCの清掃を行う。WCの清掃で難点は大便器を水洗い出来ない事である。
オガ屑を使用したバイオトイレで、便槽にオガ屑が入っていて便、トイレットペーパーを落として使用者が自転車様のペダルを回転させオガ屑と便、トイレットペーパーを攪拌する。そうするとバクテリア(?)の力で便及びペーパーを分解するというものである。なお、分解させるバクテリア(?)等は特殊なものかは私には分からない。なお、男性用トイレには専用小便器があるし大便器には尿受けがあり出来るだけ水分をオガ屑に入れない工夫がされている。
その理由はこのオガ屑は水分が多くなると、バイオの働きが鈍るそうである。従って清掃の際、水を掛ながら便器の清掃が出来ないところが悩ましい。

かなり難渋しながらWCの清掃を片付け、湿ったオガ屑を乾燥させる。乾燥用の枠は石井さんのお手製だ。さすが石井さんなかなか器用なものだ。

その後、小屋の清掃を行い9時の胎内市との定時交信を行い、朝の作業が一段落する。今日も暑いので、朝からジュース、ビールを買い求める通過者がいる。それでも、今日の天気予報が良くなかったので警戒したのか昨日午後からはやや人通りが少ない。

11時35分頃、石井さんが汗だくで到着した。石井さん、OIIさん、私の3人で昼食を食べて引継ぎを行い下山の準備をする。13時の胎内市との定時交信で私の仕事を終えた。石井さんはこれから、OTJさんの所まで行くとの事なので宜しくお伝え下さいと伝言をお願いした。本山小屋のIWUさんを呼んでみたがでなかった。今日はOIIさんと二人で下山する。

13:46 門内小屋(1,868)発 アキアカネが沢山飛んでいる。彼らももう直ぐ下山してくるのだろう。14:03扇の地紙(1,889)通過。14:20ケルン通過。
14:27
梶川峰(1,700)ケルンから梶川峰の間で乱暴に左脚をおいた石が浮石でバランスを崩した反動で右脚を傷めた。強い痛みがあるわけではないが、右の膝と足首に少しの違和感がある。
14:37三本樺(1,540)通過。14:50五郎清水(1,370)で給水する。やはり五郎清水は冷たくて美味しい。ペットボトルで水を汲み頭から首筋に冷水をかけて頭を冷やす。小さなパンを一個食べる。右脚の違和感は少しチクチクする程度なのでとりあえず、問題はないと思う。
15:23
15:30滝見場(1,145)石転ビを眺める。だんだん亀裂が明瞭になってきた。そのうち2本か3本は雪渓を横断している。
15:5115:56湯沢峰(1,020)暑さで舌がでる。16:22楢の木曲がり(69016:40登山口(420)着。
駐車場まで歩いていると、
VCKさんが居た。虻がブンブン飛んでいてロクな挨拶もせず車に逃げ帰る。飯豊山荘で入浴し17:15飯豊山荘を発ち18:40自宅着。


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